そのボード、僕が積んでおきます。

たくさんの電子工作基板が積みっぱなしになってるので、頑張って工作しようとしていますが、どんどん溜まっていっております。

センサーデータと僕達の生活:レイ・フロンティア「サイレントログ」リリース

 個人的にめちゃくちゃ応援している会社であるレイ・フロンティアが、多分満を持して(だって、ステルスで開発してたみたいで、全然教えてくれなかったんだもん)新アプリをリリースした。

 

SilentLog(サイレントログ) : すばらしい日々をログしよう

サイレントログは自動行動記録アプリです。
あなたはiPhoneを持って歩くだけ。
あなたの移動手段、経路、歩数、そして写真を自動で記録します。
わずらわしいノーティフィケーションは一切ありません。
静かに、そして寡黙に記録を取り続けるシンプルなアプリです。

 

今や、センサー技術はあまりに当たり前のものになっていて、みんなが持っているスマートフォンは各種センサーの塊だし、秋葉原に行けば数百円から様々なセンサーを簡単に購入できる。

 

センサーは、ただひたすらに、測定したデータを吐き出すだけの機械だ。

 

このセンサーによって測定されたデータを整理、解釈、意味づけするのが今最も重要な事であり、これだけ世界中に散らばったセンサーの全量を処理しようと思うと、いわゆるビッグデータの世界となる。

 

センサー自体がコモディティ化した今、このデータをどう処理するのか、であったり、どう意味づけするのか、がひとつとても重要なテーマとなっている。

 

比較的シンプルに「万歩計」のようなアプリケーションはできている。加速度計のデータがある程度の振れ幅を示した場合に一歩動いた、と解釈するロジック(多分、もうちょっと複雑)が組み込まれている。

僕が普段時計代わりに身につけているPOLAR loopや、NIKE+FUELBANDJOWBONEなどの活動量計も基本的な原理は同じだ。計測した加速度のデータ等から運動量を推定してスマートフォンに送るデバイスだ。

 

スマートフォンには、加速度計以外にも、GPS(位置を測定するためのセンサー)、照度計(バックライトの調節のためなどのために周辺の明るさを測定するセンサー)、指紋センサー、電子コンパス、気圧センサーなど多くのセンサーが搭載されている。

これらのセンサーを組み合わせれば、例えば毎朝決まった時間に、きまった場所の間を移動するアクティビティがあれば、「通勤か通学だろう」という推定ができる。そして、徒歩よりも速いスピードで揺られながら移動しているのは「ラッシュの電車かな」などと推測できるかもしれない。とすれば、もしかしたら今日一日の予定などをそっと教えてあげれば便利なのかもしれない。

というような、サービスをすでにGoogleは、Android 4.xで、「Google Now」という名称で始めていたりする。

 

それ以外のところでも、例えばクレジットカードの不正利用、Gmailなどの不正アクセスの検知などでも、こういった過去のアクティビティからの推定が使われている。僕達の生活の多くはすでにデータになっているし、それが快適で安全に暮らすのにも使われているというわけだ。

 

推定の精度を上げるには、データを多く集めることだ。単独のセンサーよりも複数のセンサーを。1回の記録よりも何回も繰り返し記録することを。一人のデータよりも多くの人のデータを。上で紹介したデバイスやサービスなどは、これまでのデータの蓄積を元にしたものだ。被験者からのデータを集め、ある程度確からしい精度が出せるものが製品となる。

 

これまでは、僕達のオフラインでのアクティビティは、意図的に記録しない限りはデータとならなかった。でも、いまや僕達のアクティビティは、オフラインのものですらオンラインに取り込みが可能になったということだ。一度データになってしまえば、コンピュータでの処理が可能ということで、様々なことに利用できるということだ。

 

僕達の日常の中で「捨てられて」いた、センサーのデータを、積極的に活用してみようという試みが、このレイ・フロンティアの「サイレントログ」なのだと思う。そして、このようなアプリをリリースして、できるだけ多くのデータを集める事こそが、より精度の高いサービスへの布石だ。

 

レイフロンティアはこれまで「位置」に関するサービスを得意としてきた会社だ。彼らが扱ってきた位置の情報に、その他のスマホのセンサーの情報を付加し、彼らはデータを蓄積していくのだろう。そして、そういうサービスは、使えば使うだけ自分にフィットするサービスとなっていく。

 

僕達の生活は、多くのセンサーでデータ化されていく。いつか、そういった自分のデータ自体を自分で所有し、アクセス権限を与え、自分の生活に役立てることができる、そんな日が来るといいな、ととっても楽天的に思いつつ、応援する気持ちでこのエントリーを書いた。